親戚に阪大を出て20代後半でFIREしてしまった子がいましてな、普段はゲーム、読書、散歩をしているそうだ。
— 魏徴X (@GICHOGI) August 23, 2023
こういった人が多くいる事は国家にとってはとんでもない損失です。 高齢者福祉のために現役世代の負担が重すぎる結果、日本は働くのもリスクとるのもコスパがどんどん悪くなっている。… pic.twitter.com/BDWKHwZCTG
まず言っておきたいのはツイートの趣旨はFIRE批判ではなくて、高齢者世代から現役世代へのリソースの分配です。税金や社会保障費の負担が重く、働くという行為のコスパが悪い以上、FIREする人が増えるのは仕方ないという考えです。
ただ同時に働く人(労働者)やリスクを取る人(起業家)が国の成長の源泉であり、FIREは社会的損失であるとも言っている。「社会の損失だけど仕方ないよね」と考える人がいるなら「社会の損失だからけしからん」と考える人がいてもおかしくない。
某ライオンキャラのインフルエンサーが「FIRE達成者は一般人の一生分の税金を納めている」と語っていましたが、これもツイートを読み込めば屁理屈だと分かりますね。知力も財力もある選ばれた人間が一般人レベルで競争を降りてしまう事自体が損失な訳です。
民主主義において数は正義である以上、シルバーデモクラシーを打破するのは難しい。一説には高齢者人口は2042年がピークでその後は減少に向かうと言われていますが、人口ピラミッドの歪みは一朝一夕には解決しない。
そしてまた例えに出して恐縮ですが、れいわ新撰組のように弱者のルサンチマンを利用して党勢を拡大しようとする輩がいる訳です。限られた予算の配分を議論すべき時に、社会保障を削らず減税できるとトンデモ理論を主張する輩が一人でもいたら足を引っ張るだけ。
つまり日本は何も変わらずこのまま衰退していく可能性が高く、早期リタイアどころか70代・80代まで働くのが普通の国になる。そうなった時に怒りの矛先がどこへ向かうのかは想像するに難くないと思います。
同ツイートは解決策の一つとして国内投資への優遇を提案していますが、ここも逆に海外への投資を厳しくする方向に向かうかもしれません。これも結局は少子高齢化でアメはお年寄りが全部持っていくので、残ったのはムチしかないからです。
海外投資へのコスパが悪くなれば、当然FIRE達成への黄金パターンも封じられる。老後資金の目安となる2000万までの資産運用は大目に見てもらえても、それ以上は困った人に配るから国に納めてね、という世の中が来るかもしれない。
自分はリタイア済でありFIREを批判する気は全くありません。ただ貧困化が日本におけるFIREリスクになる事、そしてFIRE系インフルエンサーのキラキラアピールや言い訳がましい社会貢献アピールが、貧困層の神経を逆なでする事を危惧しています。
彼らの社会参加が介護のボランティアとかならまだ分かるんですよ。老人に過剰に割かれたリソースを多少なりとも減らせる訳ですから。シルバーポピュリズムを批判するような政治活動でもいいと思います。
それでも客観的に見たら損失以上の利得を与えているとは言い難いですし、まして執筆活動がどうの講演活動がどうのと自慢話を聞かされるくらいなら、口を閉じてもらった方がありがたいというのが自分の考えです。
逆に開き直って、自分さえ良ければいいと利己的に生きるのもありですが、それもまたSNSに書き込む事ではないですね。現実が厳しいので簡単に結論が出る問題ではないですが、その現実から目をそらさず社会との共存を模索するしかないのかなと思います。
その中でコスパ・つまり費用対効果でみた損得を超える何かを我々が社会に提示できなければ、先に述べた通りじゃぁ米国株投資のコスパを悪くするしかないねという方に世論が動くのは自然の流れだと考えます。