孤独のFIRE

天涯孤独・社会的孤立状態のアラフィフ親父がFIREという名の無職を続ける記録

円安でFIRE達成手法に変化はあるか(2)

以前「円安でFIRE達成手法に変化はあるか」という記事を上げたのですが、その時よりもだいぶ円安が進んでおり、内容を補足したいと思います。ただし悲観的な話は聞きたくないという方はスキップされるようお願いします。

また以下は今のペースで円安が続くと言う前提を元にした想像の話です。自分は大増税かインフレ税かは分かりませんが、国民の資産で政府の債務をチャラにしないと円安は止まらないと考えていますが、そうでないと思う方もおられるでしょう。

後ここに書いている事はあくまで一般論であり、実際に自分がその通りに行動するかとは別の問題である事もお断りしたいと思います。個人的に思う所は、機会があれば日を改めて書きたいと思います。

 

自分はこれからの時代にFIREする人が増えるか減るかと聞かれたら、間違いなく狭き門になる・止まらない円安とそれに伴うインフレが目標達成の大きな障害になるだろうと考えています。

日本で給料を得る人にとって円が安くなるという事は、労働の価値が安くなる事に等しい。今資産形成中の方は投資資金を捻出するのが困難になるし、円建てで定額購入できたとしてもドル資産の購買力は目減りする。

一方で既にFIRE達成済の方でも、厳しい未来が待っているだろうと予想します。インフレで生活費が上昇すると共に、円を刷り過ぎた副作用として富裕層を狙い撃ちする大増税が控えているからです。

ならば海外移住はどうだとなるのですが、既に経済が傾いている中国の富裕層が世界中の不動産や長期滞在ビザを買い漁っており、いざ日本に経済危機が訪れた時にどれだけハードルが上がっているかは想像がつかない。

もちろん何時どの規模で危機が訪れるかは誰にも分かりませんが、自分はどうしてもFIREしたいなら時間との勝負だと思っています。よく投資は長期・積立・分散が王道だと言いますが、どこかで無茶をしないとこれからは厳しい。

 

一方でほとんどの方にとっては、過渡期である今は極力保守的に、特に退職という大きいリスクを取らない方が無難だろうというのが自分の考えです。資産運用以前に資産防衛・資産防衛以前に生活防衛の為に知恵を絞らないといけない。

よく「FIREそのものを目的にするのでなく、やりたい事が先にあってその手段としてするべきだ」という意見を耳にします。自分はこれは逆で、FIREそのものが目的でない人は一遍ライフプランを見直した方がよいのではと考えます。

やりたい事があっても、本当にそれは働きながらでは出来ない事なのかというのを考えた方がいいし、またやりたい事があるなら、10年後・20年後と言わず物価が安いうちに実現する方法を模索した方がいい。

賃金の上昇が何時まで続くか分かりませんが、基本的にインフレは現役世代に有利・リタイア世代に不利と言われています。身も蓋もないですが、賃上げの波に乗りながら転職やスキルアップで収入を増やすのが、一番確実な生活防衛策だと考えます。

 

一方で働かない事自体が目的の方も多いのではないかと思います。日本の劣悪な労働環境を鑑みれば、例えFIREのブームが去っても労働に対する静かな抵抗という潮流は何らかの形で残るはず。

ただそうした生き方をどう呼ぼうが、例えばダウンシフトでも低資金リタイアでも良いのですが、恐らく次の経済危機が来た時には人的資本・金融資本の少ない順に退場せざる負えないのではないかというのが自分の予想です。

これもよく聞く話ですが「日本人は勤勉だから経済危機が来ても必ず復活する」という人がいます。この意見も自分は懐疑的で、本当に勤勉さが報われる社会ならここまでFIREが話題になる事はない。

運よく復活できたとしても社会主義的な平等を維持するのは困難となり、アメリカ的な資本主義・社会保障の底が抜けると共に弱者が切り捨てられる世の中となる事でしょう。それでも非労働にこだわるならホームレスになるしかない。

 

保守的な手法としてサイドFIREは有効だと思いますが、副収入をインフルエンサービジネス、ブログやnoteでの情報発信で得ようとするのは、結局はFIREという一つの籠に卵を全部盛る事になる。

もちろん全てのインフルエンサーを否定する訳ではないですが結局はパイの奪い合いなので、自分が出来たんだから君にも出来るみたいな甘い希望に値札を付けて売る真似は限界が来ている気がします。

FIREがイソップ寓話の葡萄のような存在になれば、狼のようにファンがアンチに鞍替えする事例も増える。そうなれば広告収入も減るでしょうし、富裕層課税が議題にあがった時には誰もFIRE民の味方せずあっさり可決されるでしょう。

もし自分が金融所得以外に副収入を得るなら全く関係ないジャンル、例えば家庭菜園のような生活に直結する仕事か、海外通販で直接外国人と触れ合い外貨を獲得するか、運動がてらスポットワークで軽作業をするだろうと思います。

 

繰り返しになりますが今は過渡期。投資に関しては最悪のケースを想定してリスク分散を徹底する人間が、なぜか金融に関しては楽観論に全乗っかりし、今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫と考える。これはものすごく危険な事と考えます。

別の見方をすれば、FIREも投資と同じで究極的には個人のリスク許容度の問題、大して物欲もないしいつ死んでも構わないという方であれば、セオリーを無視してリスクを取っても問題ないという事になるかと思います。

最後に希望的な観測を書くなら、FIRE民が退場するような状況まで日本が追い込まれた時は、おそらく中小企業もブラックな順から退場している。日本は何だかんだ言って人手不足の国、失業者が生まれてもそれを吸収できるだけの雇用はあります。

また仮にFIREが未達になっても積み立てたドル資産は無駄にはならず、生活を守る盾になってくれるはず。どうしてもという方以外は、実現したらみっけものくらいの気持ちで積み立てつつ、適度な消費で今を楽しむのが良いのではと思います。