孤独のFIRE

天涯孤独・社会的孤立状態のアラフィフ親父がFIREという名の無職を続ける記録

「国債はデフォルトしないと財務省のHPに書いてある」をファクトチェック

自分は以前財政の世界は与太話が多いという話をしましたが、この前ブログ村のランキングを見ていたら、自分よりランキングが高い人がトンデモ本を紹介して「財務省はけしからん」みたいな事を言っていて、何とも残念な気持ちになりました。

コメントを残した方が良いのかなぁとも思いましたが、正直ネットの話し合いは不毛に終わる事が多く、自分は最初からブログのコメント欄は閉じているのに、こっちから喧嘩売りに行くのも何だかなと踏みとどまりました。

なのでエアリプという形になりますが、今回はその某情弱ビジネスの教祖発信でネットに広く流布するデマの一つ「自国建て通貨の債権はデフォルトしない。何より財務省のHPに書いてある」をファクトチェックしたいと思います。

これは何度も書いていますが、自分は国の財政に関する勉強量は日本でFIREを成功させる鍵になると考えています。トンデモ本に洗脳されちゃった人はもう仕方ないですが、判断付きかねるという方はしばしお付き合いください。

 

彼らがソースにしているのは外国格付け会社宛意見書用紙等についてという財務省のHPの中で奥の方にひっそりと置いてある文章です。一方トップには「日本の財政を考える」と初心者向けのコンテンツがあり、財政危機について詳しく書かれている。

ここが一つ目のポイントで、普段財務省は嘘ばかり付いていると主張する陰謀論者が、ここの部分だけは財務省を根拠にして国の借金は大丈夫と主張する、こういう論旨のつまみ食いをチェリーピッキングと言い、自分は頭がいいと勘違いした卑怯者のやる事です。

ちなみに個人向け国債を販売している証券会社のHPに行けば、元本の支払いが遅れたり不能になるリスクがあると正反対の事がきちんと書いてあります。これは販売者の責任に関わるのでこっそりだけど必ず書いてある。ここが二つ目。

いやそんな文章見たことないという人は要注意、普通取引約款でカモられる可能性が大です。大きな会社とトラブルが起きた時、いやあなた契約書にサインしてますよね、ここに書いてありますよねとなる。

 

肝心の文章なのですがタイトルの通り、日本国民に対して書かれたものではない。国債の格下げに対する反論として各格付け会社に送付されたもの。当然ですがそれを受けて格下げを撤回したという事実はなく、ここが三つ目。

つまりS&Pグローバルもムーディーズもフィッチレーティングスも、いくら国内で消費されようが金利が低かろうが、国債の遅延リスク・未払いリスクは全く変わらないよねと判断しているという事です。

そしてここが肝心なのですが、この文章が発表されたのは2002年と非常に古く、当時と今では状況が全く違う。アベノミクスを提唱した第二次安倍政権が始まったのが2012年、そこから大規模金融緩和で日本の財政は一気に悪化する。

それでも格付けが落ちていないのは日銀が大量に買い支えているからで、それが今となっては引くも地獄退くも地獄という状態になっている。デフォルトしなくても円安・インフレが止まらず、いずれにせよ国民の生活は破壊される訳でこれが四つ目。

 

これから日本に待っているのは社会の分断、金持ちvs貧乏人・年寄りvs若者のリソース争奪戦な訳ですが、そこに「税金上げず支出は増やせます。そんな事もご存じないんですね。勉強して下さいね。」と説教臭い第三勢力が表れて、議論の腰を折っている。

ネット界隈では彼ら半緊縮派を蔑称としてハンキンと呼んでいますが、僕は彼らハンキンとの話し合いは不可能だと考えています。陰謀論者にありがちな視野の狭さと歪んだ正義感が鼻につくので、自分としては金持ち喧嘩せずで来る日に向けて粛々と資産防衛するだけ。

この記事が好評でしたら彼らの他の主張、例えば「国は負債より資産の方が多い」もファクトチェックしていこうかと思いますが、まぁ不評でしょうね…。ネットは陰謀論者のフィールドなので自分の居場所はここにはないだろうと思っています。

財務省がそういう文章を出さざる負えなかった事情は「アベノミクスは何を殺したか」という書籍の155P以降に詳しく書かれていますので、もう少し深く知りたいという方はそちらもご参照ください。