
すったもんだの大阪万博が終わり早一か月。多くの国が映像出展でお茶を濁す中わざわざ国宝を出展してくれたイタリアのご厚意で、場所を変えて貴重な美術品を引き続き公開してくれる運びとなり、せっかくなのでもう一回とチケットを手配しました。
これは名尻鑑賞で有名な山田五郎氏の受け売りなのですが、万博会場である夢洲はとてもじゃないが美術品を置いていいような場所ではなかった。何事もなかった事に安堵すると共に反省も必要かなと思います。
もし国宝に1ミリでも傷が付いたら、そもそも論として利権でずぶずぶだった万博の開催意義まで国際問題となったに違いない。結果美術品は無事だった代わりに利権構造も無事に温存されたまま、国の未来に暗い影を落とす事となった訳です。

それはさておき、ファルネーゼのアトラスは相変わらずの迫力。万博で見たときは気づかなかったというか勘違いしていたのは、アトラスが抱えているのは地球儀ではなく天球儀。宇宙を俯瞰で見た時の星座の位置関係を球体上に表したものでした。
なぜこんな恥ずかしい間違いをしたのかと言うと一番は自分の教養不足ですが、万博は大行列で疲労困憊・かつ作品解説がスマホでしか見れない形式だったので、あまり細かい所まで注意が及ばなかったのもあります。
あと実際地球儀を持っているゲーム「シビライゼーション6」のパッケージ絵の印象に引っ張られたのかもしれません。(ちなみに同作はまさに時間が解ける大傑作なのですが、最新作の7はネットの評価が微妙で値下がり待ちの状態です)。
お楽しみの物販も様変わりしていて、万博ではイタリアちゃんという萌えキャラの記念硬貨とイタリア産のタイルをゲットしたのですが、今回は悩んだ末ダ・ヴィンチの描いたアトランティコ手稿の額入り複製画を購入しました。
確かに本物の美術品を見るのは貴重な経験ですが、自分はそこまでこだわりがある方でもなく、この手の展覧会に行くとポストカードや複製画は必ずチェックします。見ていて少しでも心が豊かになればそれでいいという考えです。
実際大阪市立美術館を出た後は、近所にあるスパワールド・世界の大温泉で偽物の彫刻もたっぷり堪能してきました。大浴場に浸かりながら元ネタがあるかないかも分からないでっかい彫刻を眺めるのも悪くない経験です。
ちなみにスパワールドはローマ風・ギリシャ風だけでなくアトランティス風呂まであります。さすがにアトランティス大陸をどこまで再現できているかは神のみぞ知る所ですが、寝湯の前に大きな水槽が置かれ深海の雰囲気を醸し出しています。

今回の旅行では万博記念公園で岡本太郎の作品も鑑賞してきました。前回大阪で万博が開催されたのが高度成長期真っ只中の1970年。日本が一番調子に乗っていた時期でもあり、パネル写真からも当時の熱気が伝わってきます。
一方自分は前回の大阪万博を訪問して暗い気持ちにしかならなかった訳です。一つは以前も書きましたが来場者の民度。ツールを使った予約等々、正直者が馬鹿を見る・他人を蹴落としてでもえぐい事したもん勝ちの風潮に心底うんざりしてしまった。
もう一つは最先端の技術を体感として味わう事がなかった。米中がAI搭載のアンドロイドを実用化しようとしている時に、鉄腕アトムのCGやマツコ・デラックスのからくり人形で関心してちゃあかんでしょという焦りに似た気持ちもありました。
後これは最近になって思うのですが、万博が終わってからこの国を覆う排外主義、更に言ってしまえば戦争に対する渇望、そうした悪意に満ちた空気が万博の理念といまいち馴染まない。ならいったい来場者は何を見てきたのかなと思うわけです。
おそらく大半の人は最初から何も考えていなかったのではないか。インフルエンサーの動画を見て万博に詰めかけた人達が、今度はネトウヨのショート動画を見て義憤をたぎらせている。結局それだけの事なのではないかと思います。
ただあくまで自分の私見だと今回は戦争にはならないのではないか。我が国は既に終戦時レベルの債務を老人の社会保障の為に積み上げてしまったので、有事になればおそらく戦車や戦艦を1ミリも動かす事なく負けが決まるだろうと睨んでいます。
ちなみに今回の旅で一番大変だったのは事前のチケット争奪戦でした。チケット購入と時間指定を別サイトで受け付ける謎仕様の為、お金を払わず時間予約だけする転売ヤーが続出。このドタバタぶりもまさに前回の万博と地続きの現象と言えるでしょう。
FIRE民としてどうやって心穏やかに過ごすかという問題は毎日のように考えます。ポジティブかネガティブかは関係なく、ネット世論に自分の欲望を委ねてしまうと、経済的に自由であっても精神的な自由は得られない。
結局はネット社会と距離を置くのが良いのでしょうが。それでもこのブログを続けているのは本当にボケ防止くらいの気持ちです。情報を消費するだけでなく多少なりとも発信する側に立つという一心で、もう少しだけバッターボックスに立ってみようと思います。